声を出すときに、私たちの脳がどういう指令を出しているのか、
どういう作用でその指令が声帯をあやつる筋肉に伝えられるのかはわかりません。
しかし、その指令はきわめて的確です。「声を出す」ことを訓練すればするほど、指令はいっそう的確になっていきます。
その調節のしかたを、私たちは赤ん坊のときから長い時間をかけて学習します。
生まれて間もない赤ちゃんが、自分の出した声に熱心に聞き入っているのを見たことがあるでしょう。
なんべんもあきらめることなく続けています。
また言葉をおぼえはじめるころになると、お母さんや周りの人が話しかけた言葉をオウム返しにそっくり繰り返すようになります。
あれは、無意味な遊びではないのです。
自分の声をたしかめ、聞きとった声を再現してみようとしているのです。
このように、耳で聞いた音を口で表現する能力というのは、学習と訓練の結果として完成されていくものです。
器用不器用というのは筋肉の使い方の上手下手の問題です。
不器用とか運動神経がにぶいというのは、要するに筋肉の使い方がヘタということでしょう。
しかし、ヘタな人でも何度も繰り返してやっているうちにうまくなります。
練習を積み重ねれば不器用は克服されます。だんだん器用になっていくのです。
声帯を動かすのも筋肉の運動であることには変わりはありません。声を出す、つまり<うたう>ことを繰り返すことで、
しだいに声を出す加減がわかってくるのです。
ただ、間違った声の出し方を続けていたのではオンチは治りません。正しく声を出すには、間違った知識や思い込みを捨てることが大事です。
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